日本の家を 作っています。 morimura atsushi architects

 

木の香りがする優しい空間。

 建物にはそれぞれ歴史があります。中には、建てた当時の用途での役目を終えて、別の道を歩む建物も存在します。建物の竣工当時の使われかたを変えて再度使用する事を建築の世界では、コンバージョンと呼んでいます。従来のスクラップ&ビルドでは無く、使用可能な建築は手を加えて魅力的にし再利用する。このコンバージョンがこれからの主流になるかもしれません。

 

 この建物は、東京を代表する繁華街の中心に位置しています。以前は旅館として使用され、一家の家計を支えていました。その後、時代が変化し、旅館はその役割を終えてしまいます。しかし、廃業して時が過ぎ、また、家族に変化が生じ、いままで空いていたスペースに手を加えて居住することになりました。

 今回改装するスペースは、鉄筋コンクリート造5階建てのビルの3階部分です。その為、メインのアプローチはエレベーターを使用します。3階に到着し、扉が開くと土間が出迎えます。建物に入ってから、一度外の空間を表現する事により、アプローチに深みが増し、訪問者にインパクトを与えます。

 玄関扉は大正時代の古い蔵戸。厚みは6センチもあります。重厚なこの蔵戸を開けるとそこには木の空間が広がります。今回は、床と壁の一部に島根県の杉材を使用しました。杉は柔らかく、手触りがソフトでやさしい材料です。壁には左官職人によるオリジナルの塗り壁を塗っています。

 プランとしては、小部屋を多く作らず、2つの大きな部屋を中心として構成しました。家族の集まるリビングダイニングはキッチンとワンルームとし、一部にはバルコニーを作りました。一方、寝室は、子供部屋兼用とし、 部屋の一部に小さな子供達の為の、子供スペースを作りました。レベルの上がった床に座り、お絵かきをしたり、台によじ登ってジャングルジムになったり、また、上の丸太にロープを掛けてブランコしたりと、子供たちの豊かな創造力が色々な遊びを生み出します。

 

多くの建具は、大正時代~昭和初期に製作された古建具を使用しています。風の通り抜ける無双窓や雨戸に使用されていたもの、扇型のガラスが嵌まっているものなど、それぞれ個性があります。

 

 廻りはビルに囲まれた、繁華街のど真ん中に木を多く使ったやさしい空間が出来上がりました。

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MORIMURA ATSUSHI ARCHITECTS/一級建築士事務所 森村厚建築設計事務所