リビングダイニングには、大きな開口部、個室には雪見障子付きの開口部を配置しました。これらの開口部から四季それぞれの表情を見せる主庭を眺める事が出来ます。個室の入口は開口幅が広い為、裏障子付きの格子戸を2枚繋げて対応しています。
キッチンスペースは、通常では建具を開いたオープンな空間になっていますが、匂いが気になる料理などを調理する時などには、引き戸を閉めると完全な独立した空間になる様に設計されています。キッチンカウンターは、奥様と打ち合わせしながら全てを決定したフルオーダーのオールステンレスキッチンを採用しました。
リビングダイニングやキッチンの影に隠れて見過ごされがちな水廻りや収納スペース。この家の洗面所は裏庭に面する様にプランニングしました。緑溢れる明るい洗面所で、外を眺めながらゆったりとした気持ちで身支度を整える事が出来ます。また、収納も大切です。各所の収納スペースを設けるのはもちろんの事、キッチンの横に勝手口もあるキッチン収納を設け、キッチン廻りの物だけでなく、雑多の物を収納出来るようにしています。
この家の家づくりは、素材選びから始まりました。一つ一つ材料を比較検討するのはもちろんの事、合板を使わなくても成り立つ構造計画の検討や、米のりを使用した建具の製作など多岐に渡りました。今回使用した素材は、無垢の木材、漆喰、タイル、金属など主に自然素材で化学物質の発散のない材料です。アレルギーの症状には個人差があり、無垢材でも樹種によって反応したり、漆喰でも配合によって反応したり、本当に様々です。住む人に合わせて柔軟に対応することが重要です。
外観は、焼杉の塀と打ち放しコンクリートの組み合わせになっています。リビングダイニングから外部に向かう視線の抜けや、外部からの視線への対策は塀の高さで決まる為、慎重に検討を行いました。また、塀の下端に水切りを取り付け、汚れやすい打ち放しコンクリートが汚くならない様に配慮しています。